2026年5月19日

SECTION 01
脂肪肝とメタボの連鎖——消化器内科で見つかる生活習慣病
胃もたれや胸やけで受診した方の検査から、思わぬ脂肪肝が見つかる——消化器内科の日常診療で頻繁に経験するパターンです。
健診で「肝機能異常」を指摘されて来院される方の腹部エコーを撮ると、肝臓が脂肪で白く映る脂肪肝が見つかることが非常に多いのです。さらに血液検査を進めると、中性脂肪やコレステロールの上昇、尿酸値やHbA1cの上昇、血圧の上昇や睡眠時無呼吸まで、生活習慣病が次々と併存していることがわかります。
当院のデータでは、生活習慣病関連が約3割を占め、来院患者さんの約3割に脂肪肝が認められます。脂肪肝の国際的な病名も従来の「NAFLD」から、代謝機能障害に焦点を当てた「MASLD」へと変わりつつあり、日本のガイドラインも2026年にアップデートされました。脂肪肝は放置すると肝硬変や肝臓がんへ進行するリスクがあり、早期の対処が重要です。
SECTION 02
SGLT2阻害薬が脂肪肝にもたらす効果
血糖を下げるだけでなく、肝臓の脂肪も減らす——SGLT2阻害薬が消化器内科でも注目される理由を解説します。
SGLT2阻害薬は、腎臓でブドウ糖の再吸収をブロックし、余分な糖を尿と一緒に排出させるお薬です。血糖値の低下に加え、カロリーが尿から失われるため体重減少効果もあります。
近年の研究で注目されているのは、この薬が肝臓の脂肪を減らす効果を持つことです。2024年に発表された18の臨床試験(計1,330人)を統合したメタ解析では、肝脂肪の有意な減少、肝臓の硬さの改善、そして体重・肝酵素・尿酸値・内臓脂肪の減少が示されました。
ルセオグリフロジンの臨床試験結果
SGLT2阻害薬の一つであるルセオグリフロジン(ルセフィ)について、脂肪肝を合併した2型糖尿病の患者さん40名を対象にした24週間の臨床試験では、以下の改善が確認されました。
-1.5 kg
体重の減少
-15
ALT(IU/L)の低下
21→15%
肝内脂肪含有率
MRIで測定した肝内脂肪含有率が21%から15%へと約3割改善し、ALT・AST・γ-GTPもすべて有意に低下しました。フェリチン値の改善も認められ、脂肪肝の悪化を抑制する多面的な効果が示唆されています。
【消化器内科での位置づけ】消化器クリニックでは、脂肪肝を合併した糖尿病を診る機会が多く、心不全やCKDよりもMASLDの改善が治療目標の中心になります。SGLT2阻害薬はこうした患者層に特にフィットする治療選択肢です。
【引用文献】
1. 日本消化器病学会編. NAFLD/NASH診療ガイドライン2021(改訂第2版). 南江堂, 2021.
2. 日本消化器病学会・日本肝臓学会編. MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版). 南江堂, 2026.
3. 日本消化器病学会編. 肥満と消化器疾患診療ガイド. 南江堂.
4. Sumida Y, et al. Effect of luseogliflozin on hepatic fat content in type 2 diabetes patients with non-alcoholic fatty liver disease: A prospective, single-arm trial (LEAD trial). Hepatol Res. 2019; 49(1): 64-71.
5. Mantovani A, et al. Efficacy of SGLT2 inhibitors on hepatic steatosis, fibrosis and metabolic markers: systematic review and meta-analysis of 18 RCTs (N=1330). 2024.
6. 日本糖尿病学会編. 糖尿病診療ガイドライン2024. 南江堂, 2024.


