2026年3月24日


「4週間以上つづく下痢」「1日に何回も便が出る」「通勤電車で急にお腹が痛くなる」「会議中、どうしても我慢できない便意に襲われる」 吹田市や北摂エリアで忙しく働く世代の方で、こうした悩みを「体質だから」と諦めてはいませんか?
実はその症状、「過敏性腸症候群(IBS)」という病気かもしれません。
今回の健都はやしクリニックの医療コラムは「IBSの正体と、治療に欠かせない検査の重要性」についてお伝えします。
過敏性腸症候群(IBS)とは?「我慢できない切迫感」が特徴
過敏性腸症候群(IBS)は、簡単にいうと慢性的な下痢症状を引き起こす病気です。「過敏性」という名の通り、以下のような症状が特徴です。
・慢性的な下痢:4週間以上つづく下痢。
・切迫感: 病状が悪くなると「とてもトイレに行きたい」「我慢できないほどお腹が痛い」「どうしても便を出したい」という切迫した便意が現れることがあります。
・日常生活への影響: 乗り物に乗っている時や仕事中に、その場を抜け出さないといけないほど辛い症状。
どんな人がなりやすい?
一般的には若い男性に多いですが、最近では若い女性や中年以降の方も増えています。今のストレスの多い社会を反映して、幅広い世代で発症している印象があります。また、以前に比べて、疾患としての認知度が上がっているのかもしれません。
予防のためにできること
一番は、月並みですが「ストレスの少ない生活」を心がけることです。なかなか難しいことですが、ストレスを避ける環境を少しずつでも作ることが予防につながります。
あとは、直接的な予防にはならないですが、症状を助長させないような食事をとることも症状の緩和にも繋がります。
実は「下痢」だけじゃない。IBSの3つのタイプ
IBSには、症状によって3つのタイプがあります。
下痢型: もっとも多い典型的な症状。下痢や便意の切迫感がある。
便秘型: 割合は少ないが、便秘になってお腹が痛くなる。
混合型: 下痢と便秘を交互に繰り返し、その都度お腹が痛くなる。
便秘型と混合型はそんなに症状としてはそれほど多くはないですが、原因不明の便秘や繰り返す下痢の背景に、実はIBSが隠れていることもあります。
この症状、IBS?他の病気と見分ける「2つのポイント」

IBSと他の重大な腸の病気と見分けるために、当院が普段の診療で重視しているポイントを2つお話します。
① 診察室でのキーワード「土日は平気ですか?」
先述したようにIBSはストレスと深く関連しています。 「仕事がある平日の朝は症状が強く、土日にはあまり症状が出ない」 このキーワードがあると、医師は「過敏性腸症候群の可能性が高いかも」と考えながら診療を行います。
実際には土日やストレス関連なく症状が続く、血便や微熱を伴う場合はIBSではなく、他の重篤な疾患である可能性が高まります。
② 最大の分け道「大腸カメラ」での確認
ズバリ、他の腸の病気とIBSの一番の分け道は「大腸カメラで異常がないか直接観察すること」です。
IBSの診断基準は、腸の粘膜に炎症などの「本質的な異常」がないこと。
つまり、内視鏡で検査し、異常がないことを確認して初めてIBSと診断できます。
なかなか大腸カメラや内視鏡検査と聞くとすごくハードルが高く感じられる方も多くいらっしゃいますが、当院では
・専門医による鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査
・女性医師による大腸カメラ検査
など、多くの患者様に検査を楽に安心してお受けいただくことが出来るような工夫をしております。
当院の大腸カメラの特徴
当院での診断と治療の流れ|なぜ検査が必要なのか?
「本当に過敏性腸症候群(IBS)だけで片付けていいのか」を慎重に見極めるため、当院では医学的根拠に基づいたステップで治療を進めます。
1.診察とお薬によるアプローチ
まずは患者様のお話を丁寧に伺い、現在のライフスタイル(通勤時間や仕事の強度など)に合わせて治療方針を立てます。また、飲酒や高脂質食、乳糖不耐症などの可能性を考えて、食事の調整も行います。甲状腺機能亢進症など、血液検査で簡単にチェックできるものはこの時点でチェックを行います。
初期対応: IBSの疑いがある場合、食事の調整と、腸内環境を整える「整腸剤」から開始します。
便通を整える「ポリフル」(一般名:ポリカルボフィルカルシウム)を試します。ただ、残念ながら2025年6月ごろから出荷停止となっていて、現在使用できません。
症状に合わせた調整: 下痢の回数や、あの嫌な「切迫感」が強い方には、お腹の過剰な動きを抑える「イリボー(一般名:ラモセトロン塩酸塩)」などを組み合わせ、日常生活の質(QOL)を早期に引き上げます。
2. 大腸カメラによるチェック
治療の過程で、大腸カメラによる検査を行います。 これは、慢性的に下痢を起こす他の大きな病気(潰瘍性大腸炎やクローン病など:この病気についてもどこかで詳しくお話していけたらと思っております。)が隠れていないかを確認するためです。
これらはIBSとは治療法が全く異なるため、検査による確認が必要不可欠なのです。
なぜ「大腸カメラ」が必要なのか?ここがポイント:検査を受けるべき4つの理由
次に紹介する病気を否定するためにも大腸カメラによるチェックが重要です。

・「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」との判別
慢性的な下痢を起こす難病もあり、これらはIBSとは治療法が大きく異なります。
・大腸がん・ポリープの早期発見
「ただの下痢だと思っていたら実は…」というケースを防ぐため、粘膜を直接観察する必要があります。ポリープは下痢症状と関連ないですが、大腸の検査を行ったときに一緒にチェックして治療することもできます。
・「膠原繊維性大腸炎」「アメーバ腸炎」「ベーチェット」その他
などの、レアなケースによる下痢症状もあります。
・「異常なし」という最高の安心材料
IBSはストレスで悪化します。「悪い病気じゃない」と確信できることが、実は最大の精神的治療(ストレス緩和)になります。
当院の事例|「IBSだと思っていたら…」検査で判明した事例
当院には、JR京都線や御堂筋線、阪急線を利用して大阪市内へ通勤されている働き盛りの方が多く来院されます。 「いつものストレスのせいだろう」と自己判断せず、検査をしたことで適切な治療に繋がった実例をご紹介します。
① 「ただのIBS」経過観察の定期検査でわかった新しい病気
以前の検査でIBSと診断され経過を見ていた患者様が、数年後に「土日関係なく下痢が続く」「血便が混じる」と訴えられました。 再度の内視鏡検査の結果、以前はなかった粘膜の炎症が見つかり、「潰瘍性大腸炎」を新規発症していることが判明しました。
【解説】 慢性の下痢は、難病の初期段階である可能性もあります。一度の検査で安心せず、症状の変化に合わせた「継続的なフォロー」が命を守ることに繋がります。
② 手術歴が原因だった「胆汁関連性下痢」
他院でIBSと診断されても改善せず、当院に来院されたケースです。詳しくお話を伺うと、過去にひどい虫垂炎で「回盲部切除(広範囲の切除)」をされていました。 この場合、ストレスではなく胆汁の吸収障害による下痢が疑われます。適切な治療に切り替えた結果、長年の悩みが劇的に改善されました。
③ 実は、院長自身も「IBS」の経験者です!
恥ずかしながら、私(院長)もストレスで下痢が増え、休日はケロッと治る典型的なIBSの持ち主です。私自身も内視鏡検査を受け、「異常なし(=IBS)」を確認した一人です。
自分の経験から、夜の飲酒によるストレス発散を控え、脂質の高い食事を避けるなど生活習慣を見直すことで、現在は症状をコントロールできています。 「電車のなかでの冷や汗が出るような痛み」が痛いほどわかるからこそ、患者さまの不安に寄り添ったアドバイスができると自負しています。
当院では、専門医による「鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査」や「女性医師による検査」を行っております。
また、忙しい方でも受診しやすいよう、以下の体制も整えています。
オンライン診療の活用: 症状が安定した後は、スマホ一台で再診・処方が可能です。通院時間を削ることで、心身のゆとりを確保していただけます。
土曜診療: 平日は仕事が抜けられない方も、週末を利用してじっくり相談いただけます。
まとめ|「恥ずかしい」と受診をためらっている方へ
下痢やお腹の痛みは、人に言うのが恥ずかしかったり、ネガティブに捉えてしまったりするものです。しかし、受診して症状を和らげることで、「今までできていなかったこと」ができるようになるかもしれません。慢性下痢は奥深い領域で、他の病気でないこともしっかり確認する必要があります。当院では、苦痛の少ない大腸カメラ検査も行っておりますのでぜひ一度ご相談ください。
吹田市や北摂エリアにお住まいで、ずっとお腹の調子に悩んでいる方は一人で悩まず、同じ症状を持つ院長(わたし)に一度ご相談ください。
監修

監修:健都はやしクリニック 院長 林史郎
資格
日本内科学会 総合内科専門医
消化器病学会 専門医
消化器内視鏡学会 指導医・専門医
膵臓学会
略歴
2018年 健都はやしクリニック開院


