ピロリ菌検査・除菌治療
ピロリ菌検査・除菌治療

実は、それらのお悩みの背後には「ピロリ菌」が関係しているかもしれません。
ピロリ菌は、感染していても自覚症状がほとんどないため、放っておかれやすい細菌です。しかし、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍、そして胃がんの主な原因とされており、早期の発見と治療がとても重要です。
ピロリ菌とは、胃に感染するらせん状の細菌のことです。
ピロリ菌に感染すると、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍を引き起こし、胃がんの主な原因となることがわかっています。
また、それ以外にも貧血や蕁麻疹(じんましん)など、他の病気に関与していることも指摘されています。
かつては上下水道の整備されていない地域で井戸水や生水を通じた感染が指摘されていましたが、現在ではヒトからヒトへの経口感染が主な感染経路と考えられています。
幼少期に身近な大人から感染することが多いとされ、10歳くらいまでに感染し、大人になってからは慢性感染することはないと言われています。
近年は衛生環境の向上により、若い世代での感染率は減少していますが、50代以上の方では感染している方が少なくありません。放置すると胃がんのリスクが高まるため、注意が必要です。
さらに、ご自身が感染しているとご家族など次の世代へうつしてしまう可能性もあります。またピロリ菌の除菌が成功したとしても、胃カメラをしなければ、その時点で胃がんがあるかどうかわからずに、放置される可能性もあります。
そのため、当院ではピロリ菌を含めた胃の検査を一度受けていただくことを強くおすすめしています。
迅速(じんそく)ウレアーゼ試験(RUT)
鏡検(きょうけん)法
培養法
胃液PCR検査(最新の検査方法)
胃液を用いたピロリ菌のPCR検査です。胃カメラ検査中に胃液を採取するため、侵襲性が低く、患者様への負担が少ない高精度の検査です。PPIやPCABなどの制酸剤(胃酸の分泌を抑える薬)の影響を受けないメリットがあります。また、ピロリ菌のクラリスロマイシン耐性遺伝子(※)も確認できるため、効率的に感染診断と治療方針の決定が可能です。
※ピロリ菌の中には、抗生物質クラリスロマイシンが効かないタイプが増えており、これを「クラリスロマイシン耐性」と呼びます。胃液PCR検査ではこの耐性遺伝子の有無も判定できます。
尿素呼気試験(UBT)
試験薬を服用し、服用前後の呼気を採取して診断します(容器に息を吹きかける検査です)。簡単に行える検査で精度が高く、除菌判定にも有効です。
抗体測定
血液または尿に含まれるピロリ菌抗体を測定します。感染していれば抗体価が高くなります。
便中抗原測定
便中のピロリ菌抗原を測定する方法で、除菌後の判定にも使用されます。
当院では、胃カメラ施行時に「胃液PCR検査」または「呼気検査(UBT)」「血中抗体試験」などの検査でピロリ菌の有無を調べます。
陽性と判定された患者様には除菌治療を行い、治療後は便中抗原検査または呼気検査にて除菌判定を行っています。
ピロリ菌の検査方法にはさまざまな種類がありますが、検査や除菌治療を保険で受けるには、まず胃カメラ検査を受ける必要があります。そのうえで、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの所見が確認されることが条件となります。
胃内視鏡検査で「慢性胃炎(萎縮性胃炎など)」の所見があり、かつピロリ菌検査で「陽性」だった場合、除菌治療を行います。二次除菌までは保険適用されますが3回目以降は自費診療(全額自己負担)となります。
一次除菌
胃酸の分泌を抑える薬(PCAB)+ 抗生物質2種(アモキシシリン+クラリスロマイシン)
これらを1日2回、1週間内服します。
除菌率は約90%とされていますが、近年は耐性菌の増加により除菌成功率が低下傾向です。
→当院では胃液PCR検査により、クラリスロマイシン耐性の有無をあらかじめ調べることができるため、耐性が確認された方には二次除菌から開始することが可能です。
除菌判定
除菌薬を服用後、4週間から2か月ほど間隔を空けてから、尿素呼気試験(UBT)または便中抗原検査で除菌の成否を確認します。
二次除菌
一次除菌で効果がなかった場合、別の抗生物質を用いて再度除菌治療を行います。(クラリスロマイシン耐性遺伝子が確認された場合には、最初から二次除菌からスタートします)
胃酸の分泌を抑える薬(PCAB)+ 抗生物質(アモキシシリン+メトロニダゾール)
こちらも1日2回、1週間の内服です。除菌率は約90%前後とされています。内服後4週間から2か月ほど間隔を空けてから再度除菌判定をします。
場合によって三次除菌(自費診療)
多くの方が二次除菌までに除菌に成功しますが、それでも除菌できなかった場合には、自費診療で三次除菌をご案内いたします。
また、除菌後も胃がんのリスクは完全には消えません。定期的な内視鏡フォローが重要です。

保険診療でのピロリ菌検査・除菌治療を行うには、胃カメラ検査を必ず受ける必要があります(※)
胃カメラを受けていない場合、検査・治療ともに保険適用されず、自費診療(全額自己負担)となりますのでご了承ください。
また二次除菌治療までは保険適用ですが、三次除菌以降は自費診療(薬剤費も全額自己負担)となります。
※人間ドックなどで過去6か月以内に胃カメラ検査を受け、慢性胃炎または萎縮性胃炎と診断された方は、その検査結果をもとにピロリ菌検査・除菌治療を保険で行うことが可能です。この場合、改めて胃カメラを受ける必要はありません。必ず健康診断の結果を持参のうえ当院にご来院ください。
ピロリ菌は放置すると、将来的に胃がんのリスクを高める可能性があります。
しかし、早期に見つけて適切に除菌すれば、胃の健康を守ることができます。
当院では、胃カメラを含めた丁寧な検査と、患者様一人ひとりに合わせた除菌治療を行っています。
「自分も検査したほうがいいのかな…?」と迷われている方も、どうぞお気軽にご相談ください。
