長年続く便通異常
長年続く便通異常
「便秘がちだけど、毎日少しは出ているから大丈夫」
「お腹がゆるい日が続いているけれど、そのうち治るだろう」
——忙しい毎日のなかで、こうした長年の便の不調をそのままにしていませんか。便の回数や形がいつもと違う状態は「便通異常」と呼ばれます。多くは食事や生活習慣、ストレスによるものですが、なかには大腸がんなど、早めに見つけたい病気が隠れていることもあります。この記事では、便秘・下痢の正しい意味、考えられる原因、そして受診や大腸カメラを検討すべき目安について、わかりやすく解説します。
便通異常とは、便の回数や量、形(かたさ)が普段と変わり、快適に排便できない状態をまとめた言い方です。大きく「便秘」と「下痢」に分けられます。

便秘
本来体の外に出すべき便を、十分な量、快適に出せない状態。回数が少ないことだけでなく、「すっきり出ない」状態も含まれます
慢性下痢症
4週間以上続く軟便、または水様便(水のような便)。感染性胃腸炎などによる一時的な下痢とは区別して考えます
外来で「私は便秘ではないです」とおっしゃる方でも、よくお話を伺うと「毎日コロコロした便が少しずつ出ています」ということがあります。これも便秘にあたりますので、注意が必要です。

便通異常の原因はとても多く、ガイドラインでは次の4つに分けて考えます。
器質性
腸そのものに、形の異常がある病気
症候性
全身の病気に伴って起こるもの
薬剤性
飲んでいる薬の影響によるもの
機能性
検査をしても異常が見つからないもの
比較的頻度が多く、見つかった場合の重要性も高いことから、便通異常でまず最初にチェックしなければならないのは大腸がんです。
大腸がんでは、がんによって腸の通り道が狭くなる「狭窄(きょうさく)」が起こり、便秘の原因になることが知られています。さらに、狭窄が進む過程で細くやわらかい便が少しずつしか出なくなり、「お腹がゆるい(軟便)」という症状で受診される方もいます。下痢だから大丈夫、とは言い切れない点に注意が必要です。
腸の病気(慢性的な下痢の場合)
潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患(腸に慢性的な炎症が起こる病気)、顕微鏡的大腸炎、セリアック病、まれにホルモンを出す腫瘍(VIPoma・ガストリノーマ)など
全身の病気
甲状腺の病気(はたらきが低下すると便秘、高まると下痢)、糖尿病、パーキンソン病など
薬の影響
便秘の原因として一部の痛み止めや抗コリン薬、下痢の原因として一部の抗菌薬(抗生物質)やマグネシウム製剤など。市販薬やサプリメントが関係することもあります
ストレス
緊張するとトイレに行きたくなる「過敏性腸症候群(IBS)」など
クリニックブログ:IBSとは
食事・生活習慣
下痢では牛乳・乳製品(乳糖不耐症)、シュガーレス食品に含まれるソルビトール、アルコール、脂っこい食事。便秘では食物繊維や水分の不足、運動不足、便意を我慢する習慣、環境の変化など
実際にはこうした機能性・食事・生活習慣によるものが、便通異常の相当な割合を占めます。

当院ではまずは問診で、次のような点を確認します。
そのうえで、必要に応じて採血、レントゲン、CT、大腸内視鏡検査(大腸カメラ:肛門から内視鏡を入れ、大腸の内側を直接観察する検査)などを行います。
当院の各種検査ページ
ここで特に大切なのが、腸そのものの病気を見逃さないことです。後述する警告サインがある場合や、一定の年齢以上の方では、大腸カメラで大腸がんや炎症性腸疾患がないかを直接確認します。
当院の大腸カメラについて
次のような症状がある場合は、重い病気の可能性も考えて、早めの受診・検査をおすすめします。これらはガイドラインでも、注意すべきサインとされています。
警告サインがなくても、長年便通異常に悩んでいる人や、これまで一度も大腸カメラを受けたことがない方には、検査を受けることをおすすめしています。
食べ過ぎ・飲み過ぎや、旅行・環境の変化、一時的なストレスなどに関連して起こり、短期間で自然におさまる便通の乱れであれば、まずは生活を整えて様子をみても大きな問題になりにくいと考えられます。見分けるポイントは次の2つです。
なお、強い腹痛や大量の出血がある場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。
便通異常は、便の回数や形が変わり、快適に排便できない状態のことです。「毎日コロコロ便が少し出る」状態も便秘にあたり、軟便も大腸がんのサインとなることもあります。原因の多くは食事や生活習慣、ストレスによるものですが、まず確認しておきたいのは大腸がんです。血便、体重減少、発熱、貧血、50歳以降の新たな症状といったサインがある方や、これまで大腸カメラを受けたことがない方は、一度検査を検討してみてください。「このくらいで受診してよいのかな」と迷う段階でも、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
