内視鏡診断と治療への思い
内視鏡診断と治療への思い

2001年に医師になって以来、これまで多くの消化器がん(食道がん、胃がん、大腸がん、膵がん、胆管がん)に対する内視鏡治療に取り組んでまいりました。
これらはいずれも、この30年ほどで発展してきた先進的な技術であり、消化器領域の低侵襲治療(患者様の体への負担(侵襲)をできるだけ少なくする治療)を支えてきた重要な方法です。その多くは日本で開発され、世界をリードする技術として高く評価されている日本が誇るべき治療です。
2000年代は、外科手術でしかできなかったことが次々と内視鏡で可能になっていった、まさに革新の時代でした。私はその中で内視鏡医としての道を歩み始め、その大きな可能性に強く惹かれました。全国の有名施設や“名人”と呼ばれる先生方のもとを訪ね、学び、吸収し、自分の所属施設に持ち帰る──その繰り返しの中で、ひたすら技術を磨いてまいりました。
たとえば胃がんを例に挙げると、かつては開腹手術で胃を半分〜すべて取り除く治療が主流でしたが、胃カメラ(内視鏡)だけで治療できる時代へとかわりつつありました。従来の外科手術では、術後の痛みや合併症だけでなく、お腹に大きな傷あとが残ることもありました。また、食事量の減少、貧血、ダンピング症候群(食後に動悸やめまいを起こす状態)、癒着性イレウス(腸が癒着して詰まる状態)といった晩期合併症に長く悩まされる方も少なくありませんでした。
一方で、胃カメラによる治療ではお腹を切る必要がなく、入院期間もおおむね1週間ほど。術後の合併症も少なく、胃がんになる前とほとんど変わらない生活を送れるようになりました。もちろん、病気が進行した状態で見つかった場合には、現在も外科手術が必要になります。(ただし、近年は腹腔鏡やロボット手術など、外科の分野でも驚くほど低侵襲化が進んでいます。)
内視鏡で“完全に治す”ためには、がんが粘膜にとどまり、リンパ節転移のない早期胃がんの段階で見つけることが何より重要です。勤務医時代、私は多くの方のがんを内視鏡で治療し、患者さんから感謝の言葉をいただくたびに、心からやりがいを感じていました。しかしその一方で、症状が出てから受診し、進行がんで見つかる方も少なくありませんでした。その多くは、定期的な内視鏡検査を受けていなかったのです。
胃がん・大腸がん・食道がんなど、早期の段階で見つかった消化器がんは、内視鏡による治療で根治(完全に治すこと)を目指すことができます。患者さんの負担を大きく減らす素晴らしい治療法です。
この内視鏡治療は日本で生まれ、今では世界に広まりつつある技術です。中でも、EMR(内視鏡的粘膜切除術)やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、早期がんを内視鏡で切除できる画期的な方法であり、高度な技術と経験が求められます。私自身もこの分野に情熱を注ぎ、全力で取り組んできた手技の一つです。
「もし自分が患者だったら――」
そう考えると、私は間違いなくこの方法を希望すると思います。それほどまでに、体への負担が少なく、効果的な治療だからです。たとえば大腸がんを例に挙げると、がんが粘膜の中にとどまるステージ0(早期がん)では、5年生存率は94%にものぼります。この段階であれば、内視鏡治療の適応となり、多くの方が根治を得ることができるのです。

では、どうすればこの「早期がん」を見つけることができるのでしょうか。答えはシンプルです。症状が出る前、つまり「ほとんど何も感じていない時期」に検査を受けること。それこそが、早期発見への最も確実な道です。私自身、治療の現場で全力を尽くす中で、次第に「どうすればもっと早く見つけられるのか」という「早期発見する」場所の課題に向き合うようになりました。
先述した通り、勤務医時代から私は多くの患者さんに内視鏡検査を勧めてきました。そしてほとんどの方が希望して検査を受けてくださり、当時はそれで十分だと思っていました。しかし、よく考えると大きな病院を受診される方の多くは、すでに「検査を最初から強く希望している」または「検査でがんが見つかった」方々です。
長い外来待ち時間のハードルや、通院距離、紹介状を持参し何度も来院するハードルを乗り越えて受診する意識の高い一部の患者さんに過ぎません。ではそうではない人たちは、なぜ検査を受けないのでしょうか。
以前、勤務先の病院で内視鏡室スタッフ100名にアンケートを行ったところ、97%が「定期的な検査は必要」と答えながら、実際に受けた人は「胃カメラ58%、大腸カメラ24%」にとどまりました。患者さんに「検査を受けましょう」と伝える立場の人でさえ、この受診率です。
その理由として多かったのは、「しんどそう」「恥ずかしい」「時間がない」など――
まさに、心理的・時間的なハードルが検査を遠ざけているのです。
先述のスタッフアンケートでは、
「麻酔を使いたい」「医師を選びたい」「土日や夕方の検査がいい」――
そんな声が多くありました。私自身、「どうすればもっと多くの人に安心して内視鏡を受けてもらえるか」を考え、こうした声にできる限り応えたいと思いました。
すべては「健都はやしクリニックで検査を受けてみようかな」と思ってもらえるように。そして「胃カメラ・大腸カメラって意外と楽だったね」と言ってもらえるように。
当院はこれからも小さな工夫を積み重ねていきます。
クリニックという地域の現場から、内視鏡検査のハードルを下げ、全体受診率を高め、早期発見とがん死亡率の低下に貢献することが私の使命だと考えています。

初めての方にも安心して検査を受けていただけるように、院長が実際の流れをわかりやすく解説した動画をご用意しました。
検査の流れを知っていただくことで、不安を少しでも軽くしていただければ幸いです。ぜひ一度ご覧ください。
胃がんや大腸がんは「早期に見つける」ことができれば、内視鏡治療で根治を目指せる時代になりました。一方で、多くの方が「痛そう」「恥ずかしい」「時間がない」といった理由で受診をためらっています。そのハードルを少しでも下げる工夫をすることで、「受けてみよう」と思える方が増え、地域全体のがん死亡率を下げることができると信じています。
「がんを早期に見つけるために、まず一歩踏み出せる環境をつくること」
それが、私たちの使命です。当院では、検査への不安を軽減する取り組みや、安心して受けられる環境づくりを強化しています。
是非お気軽にご来院ください。
