バリウムで要精密検査と言われたら
バリウムで要精密検査と言われたら

胃バリウム検査とは、胃の粘膜に異常がないかを調べるスクリーニング検査です。
健康診断などで胃バリウム検査をして要精密検査が必要と判定された場合、胃の様子をより詳細に調べるために胃カメラ検査(胃内視鏡検査)が必要です。
当院でも、『健診でバリウム検査に引っかかって「要精密検査」と言われた』、『バリウム検査の結果で隆起性病変などと書いてあり、焦って受診した』といったお声をいただくことがあります。実際に検査で引っかかる主な理由を簡単にまとめます。
実際にバリウムが体に残って便秘のような苦しさを訴える方も少なくありません。さらに画像の判別にも限界があり、最終的には胃カメラでの直接確認が必要になります。
X線(レントゲン)を通さない白いバリウムという液体を飲んで、お腹のレントゲンをとることで、胃の壁に張り付いたバリウムの形状を見ることができます。この間接的な映像で胃の壁の凹凸をみることができます。ふすまに写った影絵のシルエットを見て、変化を見つけるイメージです。
細いカメラを口(または鼻)から入れて、胃の中を直接「映像」で見ます。カメラなので胃粘膜の小さなキズや色の変化まで分かります。
専門の医師がリアルタイムで画像を確認しながら判断を行います。
検査中は粘液や胃液を洗浄・吸引して胃の中を綺麗にして、さらに空気量を調整することで胃を適切に広げ、病変が見えやすい状態をコントロールすることができます。
胃がんを見つけるために、青い色素の液体をかけたり、内視鏡自身の光を変えたり、最近ではAIによる同時診断を行うこともできるようになっています。
当院では2024年6月からAI(CAD EYE)を導入して、診断精度をあげる努力をしています。
バリウムは胃の凹凸を映すだけですが、胃カメラでは粘膜を直接観察できるため、ほんのわずかな段階でも病変を発見することが可能です。発見できるステージの差は大きく、早期発見のためには胃カメラが欠かせません。
まず、結論からお話しすると、胃カメラはバリウムよりも胃がんの診断精度が高いです。これに尽きます。
実際に、日本消化器検診学会による2020年度の集計 によると、
| 受診者数 | 発見胃がん数 | 発見率 | (推定数) | (推定率) |
|---|---|---|---|---|
| 4,357,582 | 2,256 | 0.052% | 3,684 | 0.085% |
※推定率は精検受診率を100%とした場合、未受診者も受診者と同じ率で、胃がんが発見されるものとして算出したもの
| 受診者総数 | 458,585人 | |
|---|---|---|
| 男 | 260,608人 | 56.80% |
| 女 | 197,977人 | 43.20% |
| 発見疾患 | 総数 | 発見率 |
| 胃がん | 801 | 0.17% |
| うち早期癌 | 651 | 0.14% |
| 食道癌 | 152 | 0.03% |
| うち早期癌 | 96 | 0.02% |
| 胃ポリープ | 68,087 | 14.85% |
| 胃潰瘍 | 7,075 | 1.54% |
胃がんの発見率を、バリウム検査 vs 胃内視鏡検査で比較すると、0.085% vs 0.17%となっています。
そもそも、胃がんを確定診断するために必要な生検(疑わしい部分の組織を採取し、顕微鏡で確認する検査)は、胃内視鏡(胃カメラ)でしか行えません。
そのため、バリウム検査で「精密検査が必要」と判定された場合、最終的には胃カメラを受ける流れになります。
さらに、内視鏡検査では早期胃がんの発見率が0.14%と高く、発見される胃がんの80%以上が早期がんと報告されています。早期に見つかれば、根治度が高い(将来に渡って再発がない状態)のみならず、お腹を切らずに内視鏡治療で治せる可能性(低侵襲であり、胃を取り除かないので、術後合併症がない)が高くなります。
ちなみに、内視鏡医を対象としたアンケート調査(内視鏡アトラスアンケート、平澤ら、2017)では、内視鏡医164人中、164人全員が「検査を受けるならバリウムではなく胃カメラを選ぶ」と回答しています。
さらに加えると、胃がんの原因であるH.ピロリ菌診断には胃内視鏡検査が必要であり、ピロリ菌の診断、除菌につながります。
これらを踏まえて、胃カメラ(胃内視鏡検査)は「正確に胃がんをみつける」のみならず、「将来的な胃がんの予防」まで担っていると言えます。

胃カメラ(上部消化管内視鏡)は、バリウムで見つかった影を直接確認できる唯一の方法です。なのでバリウム検査で要精査、要精密検査と言われたら、消化器内科を受診して胃カメラ検査を受けましょう。
健診結果を放置せず、病気を早期に発見するいい機会と思って、専門医に一度ご相談ください。
もちろん当院でも消化器内視鏡専門医による胃カメラ検査を行っています。鎮静剤を使用し眠ったまま受けられる胃カメラ検査です。いつでもお気軽にご相談ください。
必ずしも胃がんではありません。炎症やポリープ、バリウム溜まりの見え方による影響のこともあります。ただし胃がんの可能性があるため、胃カメラで確認することが大切です。
バリウムはレントゲンで影を確認する検査、胃カメラは粘膜を直接観察する検査です。精密に確認できるのは胃カメラです。
早めに受けることをおすすめします。1ヶ月前後はしょうがないと思われますが、数ヶ月以上先になるのはあまりお勧めいたしません。特に胃痛・体重減少・貧血などの症状がある方は、早急に受診してください。
健診で「要精密検査」と書かれて不安を感じる方は多いですが、異常を指摘されても必要以上に慌てずにまずはご相談ください。胃カメラでしっかり確認すれば安心にもつながります。
健都はやしクリニックでは、消化器内視鏡専門医による鎮静剤を用いた眠ったまま受けられる胃カメラ検査を行っています。健診を受け、要精密検査とされた方は、どうぞお気軽にご相談下さい。
