2026年4月21日

「健康診断でまた肝臓の数値が高いと言われた…でも特に体調は悪くないしな」と、気になりながらもそのままにしていませんか?
脂肪肝は、自覚症状がほとんどないため、多くの方が「たいしたことないだろう」と放置しがちです。しかし実は、放置し続けることで肝硬変や肝がん、さらには心筋梗塞・脳卒中のリスクにつながることが近年の研究でわかってきています。
この記事では、内視鏡・消化器内科を専門とする健都はやしクリニック(大阪・吹田)の院長が、脂肪肝の原因・放置したときのリスク・検査の目安・日常でできる改善法まで、読者のみなさんにわかりやすく解説します。

脂肪肝とは何か?どんな原因で起こる?
脂肪肝の基本:肝臓に脂が溜まった状態
脂肪肝とは、肝臓の中に中性脂肪(いわゆる「脂」)が必要以上に蓄積した状態のことです。もともと肝臓にもある程度の脂肪は含まれていますが、それが過剰になった状態を指します。
脂肪肝の主な原因
脂肪肝になる主な原因は以下のとおりです。
・食べすぎ・飲みすぎ:糖質や脂質を多く含む食事の過剰摂取
・運動不足:消費カロリーが少なく、脂肪が燃焼されにくい状態
・肥満:上記2つが重なることで起こりやすくなる
・アルコール:直接的な肝ダメージに加え、中性脂肪の蓄積を促す
特にアルコールについては、見落とされがちなメカニズムがあります。
【院長解説】「アルコールを分解する酵素は肝臓で働いていますが、この酵素は肝臓の中で中性脂肪を外に出す働きとも関係しています。アルコールを分解する側に使われてしまうと、中性脂肪をうまく外に出せなくなってしまうんです」こうした理由から、お酒をよく飲む中年男性は特に脂肪肝になりやすいとされています。
お酒を飲まない人・痩せている人も脂肪肝になるの?
「自分はお酒を飲まないから大丈夫」と思っている方も、注意が必要です。
飲酒しない方のリスク
・糖質の摂りすぎ:甘い飲み物、清涼飲料水など
・果糖の過剰摂取:健康志向で野菜・フルーツジュースを多く飲む方に多いパターン
【院長解説】「みかんなら1〜2個しか食べられなくても、ジュースにすると5〜10個分を一気に摂ることができます。健康のつもりで飲んでいても、果糖を過剰に摂取してしまっているケースがあります」
痩せている女性のリスク
意外に思われるかもしれませんが、痩せている女性も脂肪肝になることがあります。その背景として以下が挙げられます。
・急激なダイエット
・過剰な絶食と過食の繰り返し
・閉経後のホルモン変化による脂肪蓄積
体型や飲酒習慣にかかわらず、脂肪肝は「自分には関係ない」と言い切れない病気です。
脂肪肝を放置するとどうなる?
脂肪肝は症状が出にくいため放置されやすいですが、長期間放置すると深刻な病気につながる可能性があります。
肝臓への影響
・脂肪肝の悪化 → 肝臓の線維化
・さらに進行 → 肝硬変・肝がん
かつて肝硬変や肝がんの主な原因はB型・C型肝炎でしたが、近年は脂肪肝が進行して肝硬変・肝がんに至るケースが増えてきています。
全身への影響
脂肪肝は肝臓だけの問題ではありません。
・動脈硬化・高血圧
・糖尿病・脂質異常症
・心筋梗塞・脳卒中のリスク上昇
脂肪肝はメタボリックシンドロームの一部として位置づけられており、全身の健康に大きく関わっています。
当院での検査と受診の目安

受診の目安:ALTが30を超えたら要注意
血液検査の項目の一つに「ALT」があります。これは肝細胞がダメージを受けると血液中に増える酵素で、脂肪肝のスクリーニングに広く活用されています。
日本肝臓学会が2023年に発表した「奈良宣言2023」では、ALTが30を超えた場合を一つの目安として、まずかかりつけ医や専門医を受診することを推奨しています。これは肝疾患の早期発見・早期治療につなげることを目的とした指針です。
【院長アドバイス】「奈良宣言という指針があり、ALTが30を超えたら一度医療機関に相談してほしいとされています。それ以外にも、メタボリックシンドロームに関連する項目(血糖値・中性脂肪・血圧など)を指摘されたことがある場合は、積極的に受診してください」
※なお、奈良宣言は義務ではなく「提言」です。年齢や体の状態によって対応は異なるため、数値が気になった場合はまず医師にご相談されることをおすすめします。
当院での検査の流れ
健康診断などで肝機能異常や脂肪肝を指摘された方には、次のような流れで診察を進めます。
・血液検査:血糖値・中性脂肪・肝機能(AST・ALT・γGTP)などを確認
・超音波検査(エコー):肝臓の状態・脂肪の蓄積・線維化の程度を確認
・生活習慣の聞き取り:食事・飲酒・運動習慣などをヒアリング
・治療方針の相談:必要に応じて生活習慣の改善指導や経過観察
脂肪肝は治る?日常でできる改善法

脂肪肝は改善できる病気
脂肪肝はほとんどの場合、治すことができます。ただし、継続的な生活習慣の見直しが必要です。
体重を少しずつ減らすことが大切
体重を10%程度減らすと肝臓の脂肪が大幅に改善するとされています。
例えば80kgの方なら約8kg減が目安ですが、急激な減量はリバウンドにつながるため、月に約1kgのペースでゆっくり落とすのが現実的です。
まずは5%(80kgなら4kg)を目標にするところから始めてみましょう。
院長おすすめの運動法
「現代社会はどんどん便利になって、意識しなければ体を動かさなくて済む時代になっています。だからこそ、あえて運動を日常に取り込むことが大切です」(院長)
特別なジムに通わなくても、こんな工夫から始められます。
・ウォーキング:外出のついでに少し歩く時間を作るだけでも効果的
・早歩き・小走り:いつもより少しテンポを上げるだけでOK
・階段を使う:エスカレーターをやめて階段に切り替えるだけで運動量が増える
当院のある吹田・摂津エリアは公園や遊歩道も多く、日常のウォーキングコースを作りやすい環境です。通勤や買い物のついでに、少し遠回りする習慣から始めてみてはいかがでしょうか。
生活習慣改善のメリットは肝臓だけじゃない
生活習慣を整えると、肝機能の数値が改善するだけでなく、血圧・コレステロール・血糖値など、メタボリックシンドローム全体の改善につながります。
「体が軽くなった、疲れにくくなった、若返った気がすると感じる方が多いですね。心筋梗塞や脳卒中のリスクが下がるだけでなく、日々の体調が良くなるという実感が、継続のモチベーションになると思います」(院長)
まとめ
脂肪肝は自覚症状がほとんどなく、放置しがちな病気ですが、進行すると肝硬変・肝がん、さらには心筋梗塞・脳卒中のリスクにもつながります。お酒を飲まない方や痩せている方でも無縁ではありません。「自分は大丈夫」と決めつけないことが大切です。
血液検査でALTが30を超えていた場合、または健康診断でメタボリックシンドロームに関連する異常を指摘された方は、一度ご相談ください。脂肪肝は、正しい知識と少しずつの生活習慣の見直しで、改善できる病気です。
気になる症状や健診の結果がある方は、ぜひお早めに健都はやしクリニックへご相談ください。WEBからのご予約・お問い合わせはこちら、お電話でもお気軽にどうぞ。
監修

監修:健都はやしクリニック 院長 林史郎
資格
日本内科学会 総合内科専門医
消化器病学会 専門医
消化器内視鏡学会 指導医・専門医
膵臓学会
略歴
2018年 健都はやしクリニック開院


