消化器がんと検診
消化器がんと検診
近年の統計によると、日本では「がん(悪性新生物)」による死亡が年々増加し、いまでは、日本人の死因の中で最も多い原因となっています。
つまり、がんは私たちにとって、もっとも身近で避けられない病気の1つになっているのです。

(参考)令和6年(2024年)人口動態統計月報年計(概数)の概況

下の表を参考に、男女別にみると、胃がんや大腸がんの割合が特に多くなっています。
さらに肝臓・膵臓・食道といった臓器を含めると、消化器に関係するがんが全体の大きな割合を占めていることがわかります。


(参考)厚生労働省「全国がん登録 罹患数・率 報告 2021」
日本人の死因の多くを占めるのは「がん」であり、その中でも「消化器のがん」が大きな部分を占めています。
だからこそ、これらのがんをどう防ぐか、どう早く見つけるか、これからの健康づくりでとても重要なテーマなのです。
「消化器がん」とは、消化器の内臓(食道・胃・腸・肝臓・膵臓・胆のうなど)に発生するがんの総称です。
これらの臓器は体の深部にあるため、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。
実際に、胃がんや大腸がんでも“痛み”や“体調不良”を感じたときには、すでに進行しているケースもあります。

食道がん
食道は胸の真ん中を通って、のどから胃をつなぐ、文字通り「食事の通る道」になる臓器です。食道がんが進行すると飲み込みにくさや胸のつかえ、体重減少などの症状がでることがあります。
胃がん
胃は食道とみぞおちのあたりで繋がり、十二指腸につながる大きな袋状の臓器です。ここで食事をためて、胃酸とまぜて消化し始めます。胃がんが進行すると、貧血や腹痛が出ることがあります。ピロリ菌との関連があり、除菌が重要です。
大腸がん
大腸は小腸と肛門の間をつなぐ臓器です。大腸がんが進行すると腹痛、膨満感、便通異常、下血、などの症状が出ることがあります。前がん病変であるポリープ(腺腫など)を除去することで予防につながります。
膵臓がん
膵臓は消化酵素である膵液を十二指腸に分泌したり、血糖をコントロールするインスリンを血中に分泌します。膵臓がんが進行すると、腹痛、背部痛、下痢などの便通異常、体重減少、黄疸(顔や皮膚が黄色くなる)、糖尿病増悪などの症状がでることがあります。
肝がん
肝臓は腸から吸収した栄養を取り込んで貯蔵と放出をしたり、血中の毒素(アルコールなど)を分解して体全体のバランスを保っています。肝臓がんが進行すると体重減少や腹水、腹部膨満感、倦怠感、黄疸などの症状がでることがあります。
胆道がん
肝臓で作った消化液である胆汁を十二指腸に届ける道になり、途中に胆嚢があります。胆道がんが進行すると黄疸、体重減少、腹痛などがでることがあります。
消化器がんの多くは、早期に発見・切除することができれば根治の目指せる病気です。特に日本人では胃がん・大腸がんの発症率が高く、40歳を過ぎたら一度は内視鏡検査を受けることをおすすめします。
早い段階で見つかった胃がん・大腸がん・食道がんは、内視鏡治療で根治を目指すことができます。(お腹を切る必要がないため傷跡が残らず、早期の社会復帰が期待できる優れた治療法です。)
では、どうすればこの「早期がん」を見つけることができるのでしょうか。
答えはシンプルで、症状がほとんどない時期に検査(検診)を受けることです。これこそが、早期発見へのいちばん確実な方法です。
本来、がん検診はこうした“早期発見”を目的としていますが、受診率の低さが大きな課題になっています。2020年度のデータでは、60歳以上の受診率は60〜70%ほどですが、40〜50歳代では40%程度にとどまり、特に男性は女性より低い傾向があります。まさに、働く世代の受診率向上が重要な課題だと言えます。

2020年度消化器がん検診全国集計報告. Journal of Gastrointestinal Cancer Screening Vol.62(1), Jan. 2024

一方で、長い目で見ると改善傾向もあります。
ここ20年ほどの推移では、2010年に20%台だった受診率が、2016年度には40%前後、2020年度には全体で50%以上へと上がってきています。
少しずつですが、検診を受ける方が増えてきているのは確かです。


吹田市では、50歳以上の方を対象に胃がん検診が実施されており、胃がんを早い段階で見つける大切な機会となっています。
検査方法は「胃部X線検査(バリウム)」と「胃内視鏡検査(胃カメラ)」がありますが、当院では「胃内視鏡検査(胃カメラ)」のみ対応しております。
鎮静剤を使用することはできません
⇒意識のある状態での検査になりますので、不安な方は内視鏡ドックをおすすめします。
抗血栓薬を内服中の方や自覚症状のある方などは受診することは出来ません。
⇒吹田市のホームページをご確認いただきご自身が対象であるか確認いただいた上でご予約ください。検査前の診察で、対象でないと判断された場合は吹田市胃がん検診として検査は出来ませんので、保険診療か内視鏡ドックをご案内させていただきます。
※吹田市大腸がん検診については、当院では2次検診(一次検診で要精密検査になり、大腸内視鏡検査が必要な方)のみ対応しております。検診結果を持参のうえ、まずはお気軽にご相談ください。
年齢を重ねると、がんに対する不安は誰にでも生まれるものです。
こうした気持ちは珍しいものではありません。
消化器がんは、早く見つかれば内視鏡治療で完治を目指せる病気です。
だからこそ、“症状が出るのを待たないこと”がとても大切です。
当院では、経験豊富な内視鏡専門医が丁寧に検査・診察をさせていただいており、夕方胃カメラなど検査時間も忙しい方でも受けやすい体制を整えています。
検査に不安のある方には、事前に丁寧な説明を行い、疑問や心配ごとを一つずつ解消していきます。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
