現在日本の死因別にみた死亡率をみると、がんが占める割合が年々大きくなってきています。
なかでも内訳をみますと、男女ともに胃がん、大腸がんが大きな割合を占めております。
また、肝臓、膵臓も含めると、上位5位で肺がん以外を全て消化器関連のがんが占めていることになります。
この点にどのように対処するかが大きな課題といえます。
日本の主な死因別にみた
死亡率の年次推移
胃がんや大腸がんは早くみつかれば、内視鏡治療や手術で根治に近い成績が望める
がん検診受診率というデータがあります。
胃がんや大腸がんは早くみつかれば、内視鏡治療や手術で根治(完全に治る)に近い成績が望めるため、症状のない段階で見つけるかどうかが、大きく道を分けると言えます。がん検診はこれらを早く見つけることを目的としていますが、2016年度で胃がん、大腸がん検診受診率ともに40%前後となっており、2010年の20%台から改善してきてはいるものの、依然として半数以上のかたが受診していません。
これまでも患者さまに内視鏡検査を勧めてきましたが、多くの方が希望して検査を受けてくれました。
それで私は満足していましたが、よく考えると大きな病院の消化器内科を受診している患者様はそれなりに検査を希望している患者様が多いことに気づきました。
非常に意識の高い、一部の集団であると言えます。(紹介されて再度受診することになりますし、外来待合も長い待ち時間があります。)
残念ながら多くの人たちはそこまでできません。 そこで、私が勤めていた内視鏡室に勤務するスタッフ100人を対象にアンケートを行ったところ、97%が必要と答えながら、受けたことがある割合は胃カメラ58%、大腸カメラ24%でした。「しんどそう」「はずかしい」「時間がない」などが原因の多くに上がりました。 つまり検査を受けることに対するハードルが問題であると言えます。
どうすれば
「受けてみよう」と
思えるでしょうか
ではどうすれば「受けてみよう」と思えるでしょうか?
先述のアンケートでは、麻酔や検査をおこなう医師の指定、土曜・日曜の検査受診(働いている人)を希望する意見が多くありました。
いままで、敬遠していた患者さまが「ここだったら受けてもいいかな」と思っていただけるように、いろいろな工夫をしていきたいと思います。
これからは、クリニックでの取り組み、社会への啓発でこれらのハードルを少なくして、全体受診率の向上、早期発見、そして最終的には死亡率低下に関わっていけたらと思います。