がんの罹患率、死亡率のお話しをしてまいりましたが、膵がんについても触れたいと思います。
膵がん罹患率は上位にないものの、死亡数は全体の第4位となっております。
この理由は膵がんの悪性度の高さにあると言えます。
全体の平均が60%台であることに対して、膵がんは5年生存率7%台となっています。
これは他の血液や脳などの全がんの中でも際立って悪い結果です。
では 膵がんは不治の病なのでしょうか?
膵がんは
不治の病
なのでしょうか?
胃がん、大腸がんは早期のがんは5年生存率が90%を大きく超えており、これ故に早く見つけると根治する可能性が高い、すなわち検診でのチェックが重要でありますが、実は膵がんも早期の段階では比較的予後が良いことがわかっております。
5年生存率はⅢ期Ⅳ期で10%未満ながら、Ⅰ期だと40%となっています。膵がんの全体の成績がほぼステージⅢ相当になっています。つまり、見つかっている膵がんの多くは進んだ状態であり、早期の発見が困難であることが予後不良の原因の一つになっていると言えます。
その他にも食べ物の通り道の臓器でないため、胃、食道や大腸のようにカメラで直接見ることができないことも原因です。
・複雑に血管、臓器が交錯する部位にあるため、(簡単に切ってつなぐわけにいかない「交差点」と説明していました)手術難易度が高い と言えます。
膵がんの予後が悪い原因は、
それ自身の悪性度が高い以外にも手術難度が高い、見つかりにくい、
という点が問題であると言えます。
それゆえに、より早く見つけること(ステージ0/1)が根治につながるとして、軽微な症状や画像所見を持つ患者様に対して積極的に膵臓の精密検査を行う取り組みが広島県尾道で行われ、効果が認められ、各地で行われ始めています。
この取り組みのポイントは、特に症状のない段階から膵臓の検査、エコーやMRIを行うことで、早期発見の手がかりが得られるということです。
この取り組みの目標とするステージは0期であり、ごく早期での発見をめざしていると言えます。
Hanada K, Amano H, Abe T. Early diagnosis of pancreatic cancer: Current trends and concerns. Ann
Gastroenterol Surg. 2017;1:44–51. https://doi.org/ 10.1002/ags3.12004