2026年7月31日

健診で「慢性胃炎」と言われたら、どうすればいい?
健康診断や人間ドックの結果表に「慢性胃炎」と書かれていて、「症状もないし、そのままでいいのかな」と迷っていませんか。慢性胃炎は自覚症状がないまま静かに進行することが少なくなく、その背景にピロリ菌感染が隠れているケースもあります。この記事では、健診で慢性胃炎を指摘されたときに受診すべき目安、放置した場合に考えられるリスク、そして胃カメラ(内視鏡検査)がなぜ必要とされているのかを、大阪北摂・吹田で内視鏡専門医がわかりやすく解説します。

健診で「慢性胃炎」と指摘されたらいつ受診すべき?目安を解説
健診で「慢性胃炎」を指摘される場合、大きく分けて2つです。
・バリウム検査(上部消化管X線検査)で「胃炎」を指摘されるパターン
・血液検査によるABC検診で「慢性胃炎の疑い」とされるパターン
ここで大切なのは、これらはあくまで一次スクリーニング(ふるい分け)であり、それ自体で胃炎や胃がんを確定診断するものではないという点です。
実際にピロリ菌に感染しているかどうかは、胃内視鏡検査(胃カメラ)による粘膜の観察や、各種の感染診断検査を行わなければ正確には判定できません。血液検査の結果だけでは判断がつかず、内視鏡検査で初めて実際の状態がわかるというケースもしばしばあります。
ピロリ菌検査・除菌治療についてはこちらから
そのため、症状の有無にかかわらず、「慢性胃炎」の指摘を受けた方は、一度は胃内視鏡検査を受けてピロリ菌感染の有無を確認することを目安とすることをお勧めします。
「慢性胃炎」の指摘を受けた方で特に受診が必要な場合は?
特に次のような方は、早めの受診が望まれます。
・ご家族に胃がんの既往がある方
・40歳以上で一度も内視鏡検査を受けたことがない方
・貧血や体重減少などの症状を伴う方
なお、保険診療でピロリ菌感染検査・除菌治療を行うには、内視鏡検査で胃の中を確認していることが前提条件となっています。
急な体重減少についての解説はこちら
「症状がないから」と放置するとどうなる?胃がんとの関係

結論から言うと、放置すればするほど、がんの発見が難しい変化が進んでしまう可能性があります。
胃がんの多くは、ピロリ菌感染に伴う慢性的な炎症を背景として発生すると考えられています。
ピロリ菌感染が長期間続くと、胃粘膜が萎縮する「萎縮性胃炎」が進行し、さらに「腸上皮化生」(胃の粘膜が腸の粘膜に似た状態に変化すること)へと変化していく過程で、発がんリスクが徐々に高まっていくとされています。
市販の胃薬は胃痛や胃もたれといった症状を一時的に和らげることはできますが、原因であるピロリ菌感染そのものや粘膜萎縮の進行を止めることはできません。
また、「ピロリ菌を除菌すれば胃がんの心配がなくなる」というわけではない点にも注意が必要です。
除菌によって胃がんの発生リスクはおよそ2分の1程度まで低下するとされていますが、ゼロにはなりません。
特に、除菌前の萎縮性胃炎の程度が強いほど、除菌後も胃がんが発生するリスクは高い状態が残ると報告されています。つまり、除菌したかどうかだけでなく、どの程度胃炎が進行した状態で除菌に至ったかによって、その後のリスクが変わってくるのです。
【胃がん連載コラム:第2回-ピロリ菌とリスク編】/】
さらに、除菌後に発生する胃がんは、平坦だったり色調のわずかな変化にとどまったりすることが多く、除菌前の胃がんに比べて内視鏡でも発見が難しい場合があると指摘されています。こうした微細な変化は、解像度の面からバリウム検査で拾い上げることは非常に困難で、胃内視鏡検査でなければ発見が難しいのが実情です。
これが最初に述べた、放置すればするほど、発見が難しい変化が進んでしまう理由です。
慢性胃炎の診断に、なぜ胃カメラ(内視鏡検査)が必要なの?

慢性胃炎を正確に診断するには、胃カメラで胃の粘膜を直接目で確認することが欠かせません。
それは、慢性胃炎の原因がピロリ菌だけではないからです。
たとえば、自分の免疫の働きによって胃の粘膜が弱ってしまう「自己免疫性胃炎」や、痛み止めなどの薬の影響で起こる胃炎など、ピロリ菌とは別の原因で胃炎のような状態になることもあります。そのため「ピロリ菌の検査が陰性だったから大丈夫」と思い込まず、内視鏡でしっかり原因を確かめることが大切です。
内視鏡でどうやって胃炎を見分けているのか
少し専門的な話になりますが、内視鏡専門医の多くは「胃炎の京都分類」という判断基準を使って胃の状態を評価しています。これは、赤みの広がり方や粘膜の萎縮(薄くやせた状態)、腸の粘膜に似た変化(腸上皮化生)といった内視鏡で見える特徴をチェックしていくことで、「ピロリ菌に今感染しているのか」「昔感染していて治療済みなのか」「そもそも感染したことがないのか」を、高い精度で見分けるための方法です。
当院の胃カメラ検査について
血液・便のピロリ菌検査だけでは不十分なの?
血液や便でピロリ菌を調べる検査は、身体への負担が少なく手軽に受けられるという良さがあります。
ただし、実際には感染しているのに「陰性(感染していない)」という結果が出てしまう「偽陰性」が一定数あることもわかっています。つまり、血液・便検査だけでは見逃しが起こる可能性もあるということです。
そこで役立つのが、内視鏡検査のときに胃液を少し採って調べる方法(PCR検査)です。ごく少量のピロリ菌でも検出できる精度の高い検査で、あわせて「除菌の薬が効きにくい菌かどうか」もこの検査で調べられます。
あらかじめ薬が効きにくいタイプかどうかがわかっていれば、最初から効果の高い薬を選ぶことができ、除菌治療が成功しやすくなります。この検査法は日本ヘリコバクター学会のガイドライン2024改訂版にも取り入れられており、当院でも積極的に行っている検査の一つです。
「胃カメラは怖い」という方へ

「胃カメラは苦しそう」というイメージから受診をためらう方は少なくありません。当院では、ご希望に応じて鎮静剤(静脈麻酔)を使用した検査を行っており、うとうとと眠っているような感覚の間に検査が終了するため、えずきや不快感を大幅に軽減できます。
また当院では、AIが検査中にリアルタイムで胃・食道の腫瘍性病変が疑われる領域を検出し知らせる、AI内視鏡診断支援システムを導入しています。医師の目とAIによるダブルチェックにより、見落としやすい早期の変化の拾い上げを支援します。あわせて、胃液を採取するだけで行えるピロリ菌PCR検査により、生検による粘膜の傷や出血の心配なく、正確な感染診断が可能です。
まとめ

吹田・摂津・茨木・東淀川などの北摂エリアには、お仕事や子育て・介護などでお忙しく、「症状はないから」「検診結果の意味がよく分からないから」と、胃の検査を後回しにされている現役世代の方やそのご家族が多くいらっしゃると思います。
しかし、慢性胃炎やその背景にあるピロリ菌感染は、自覚症状がないまま静かに進行することが少なくありません。バリウム検査やABC検診で「慢性胃炎」「要精査」の結果が出た際は、それは体からの大切なサインです。
特に40歳以上で一度も内視鏡検査を受けたことがない方は、忙しさを理由に先延ばしにせず、一度消化器内科を受診されることをお勧めします。
当院は健都に位置し、JRや阪急沿線エリアからもアクセスしやすい立地で、健診結果の見方のご相談だけでも歓迎しております。問診で医師が適切なアドバイスをさせていただきますし、検査も院長をはじめとする内視鏡専門医が担当しております。
鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査、AI内視鏡診断支援、胃液を用いたピロリ菌PCR検査など、正確でありながら負担の少ない検査体制を整えておりますので、「一度も胃カメラを受けたことがない」「健診結果を持って相談したい」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。ご自身とご家族の健康を守る第一歩として、まずは一度、専門医による内視鏡検査をご検討いただければと思います。
監修

健都はやしクリニック 院長 林史郎
資格
日本内科学会 総合内科専門医
消化器病学会 専門医
消化器内視鏡学会 指導医・専門医
膵臓学会
略歴
2018年 健都はやしクリニック開院



