2026年9月18日

当院ではこんなご相談で来院される方が多くいらっしゃいます
・「健診でピロリ菌の疑いと言われたけど、何をすればいいかわからない」
・「胃もたれや胃の痛みが続いていて心配」
・「家族がピロリ菌に感染していたので、自分も調べたほうがいいか気になっている」
・「症状はないし、このままでも平気なのか判断できない」
ピロリ菌は感染していてもほとんど症状が出ないため、気づかないまま長期間放置されやすい細菌です。
しかし胃炎や胃潰瘍、そして胃がん発生に関与することが知られており、早めに調べておくことが大切です。
今回は、吹田市・摂津市エリアで内視鏡専門医として診療する当院が、ピロリ菌検査の必要性について解説します。
ピロリ菌とは?なぜ症状がでなくても検査が必要なのか
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の中にすみつく細菌です。感染すると胃に炎症を起こし、胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因となるほか、胃がん発生の主要な危険因子の一つであることが、国内外の研究で示されています。
多くの方は10歳くらいまでに、身近な大人からの感染経路でうつるとされ、成人後に新たに感染することはまれです。近年は衛生環境の改善により若い世代の感染率は低下していますが、50代以上の働く世代では、感染している方がまだ一定数いらっしゃいます。
▶ ピロリ菌とはどんな菌?詳しい解説はこちら

(文献2のデータから、現代年代別に編集)
慢性的な胃炎は、自覚症状がないまま少しずつ進行します。
感染した状態が長く続くと、胃の粘膜が薄く弱っていく「萎縮性胃炎」という状態が広がっていき、さらに胃の粘膜が腸の粘膜のような状態に変化して、胃がんの好発部位となる「腸上皮化生」が増えていきます。
こうした変化が進むほど将来胃がんになりやすいとされています(日本ヘリコバクター学会ガイドラインより)(1)。そのため当院では、症状がなくてもご家族に胃がんやピロリ菌感染の既往のある方には、胃カメラ検査とピロリ菌検査をあわせて受けていただくことをおすすめしています。
こんな方には特に検査をおすすめします

市販の胃薬は、胃の痛みやもたれといった症状を一時的にやわらげることはできますが、原因であるピロリ菌そのものや、粘膜の変化の進行を止めることはできません。次のような方は、症状の有無にかかわらず一度検査をご検討ください。
・ご家族に胃がんになった方がいる
・40歳以上で、これまで一度も胃カメラを受けたことがない
・貧血や体重減少など、気になる症状がある
・健診で「慢性胃炎」「要精査」と指摘された
・会社の検診でバリウム検査を毎年受けているが、胃カメラは受けたことがない
▶ バリウムVS胃カメラ ブログはこちら
当院で行う検査と除菌治療の流れ

ピロリ菌検査には、呼気を調べる「尿素呼気試験」、血液や尿で調べる「抗体検査」、便で調べる「便中抗原検査」などがあります(▶ ピロリ菌の検査方法についてくわしい解説はこちら)。
当院では、胃カメラ検査のときに胃液を少しだけ採って調べる「PCR検査」をおすすめしています。
微量の菌でも検出しやすく、胃酸を抑える薬を服用中でも結果への影響を受けにくいとされるほか、除菌治療薬への耐性の有無もあわせて調べられます。耐性の有無が事前にわかることで、最初から効果の高い除菌薬を選択でき、除菌治療の成功率向上が期待されます。
この検査法は日本ヘリコバクター学会のガイドラインでも位置づけられているもので、当院でも積極的に行っています。
除菌治療は次のような流れで進みます。
ピロリ菌除菌治療の流れ
一次除菌から除菌判定、二次除菌までのステップ
1回目の治療(一次除菌)
除菌薬を1週間服用します。
除菌判定
呼気検査や便検査で、除菌が成功したかどうかを確認します。
除菌治療は終了です。
別系統の薬剤に変更し、二次除菌へ進みます。
2回目の治療(二次除菌)
一次除菌が不成功だった場合、別系統の薬剤に変更して再治療します。
保険診療の対象ですなお、保険適用でピロリ菌の検査・治療を受けるには、事前に胃カメラ検査で胃炎などの所見が確認されていることが条件となります。(▶ 除菌治療についての詳しい説明はこちら)
除菌治療によって胃がんのリスクは低下するとされていますが、ゼロになるわけではなく、除菌前の胃の状態によってその後のリスクは変わってきます。また、除菌後に発見される胃がんは色調や形態の変化が軽微なことがあり、内視鏡診断がより慎重を要する場合があると報告されています。「除菌が終わったから安心」と考えず、除菌後も医師の案内する間隔での経過観察をおすすめします。
「胃カメラは苦しそう」という方へ

胃カメラ検査への不安から受診をためらう方も少なくありません。
当院では鎮静剤を使った苦痛の少ない検査をご用意しております。
(ガイドラインでも、鎮静は検査のつらさや不安を和らげ、安全に終えるのに役立つとされています。)
検査中はモニターで状態を確認し、検査後はしばらく院内でお休みいただけます。眠っている間に検査を受けられるため、苦痛や不快感を感じにくいとされています。▶ 内視鏡が辛かった方 ブログで詳しく解説
また当院ではAI診断補助システムを導入しており、胃カメラの見落とし軽減や大腸ポリープの早期発見をサポートしています。(▶ 当院の胃カメラの特徴)ご不安のある方も、遠慮なくご相談ください。
まとめ
ピロリ菌感染は、症状がなくても胃炎や胃がんに関与する可能性があります。
早期に検査を受け、必要に応じて適切な治療を行うことが、胃の健康を守るうえで重要です。すでに除菌治療を終えた方も、その後の経過観察を続けることが今後のリスク管理につながります。
当院はJR岸辺駅直結という立地を生かし、吹田市・摂津市にお住まい・お勤めの方が通いやすい環境を整えています。鎮静剤を使用した負担の少ない胃カメラ検査、胃液を用いたPCR検査など、負担軽減と検査精度の両立を目指した診療体制で対応しておりますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
※本ページは一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状には個人差があり、自己判断は禁物です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
監修・参考文献
監修:健都はやしクリニック 院長 林 史郎(日本消化器内視鏡学会 指導医 専門医)
最終更新日:2026年9月
参考文献:日本ヘリコバクター学会「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン 2024年改訂版」Mindsガイドラインライブラリ
Wang C, Nishiyama T, Kikuchi S, Inoue M, Sawada N, Tsugane S, Lin Y. Changing trends in the prevalence of H. pylori infection in Japan (1908–2003): a systematic review and meta-regression analysis of 170,752 individuals. Sci Rep. 2017;7(1):15491. doi:10.1038/s41598-017-15490-7. PMID: 29138514
Ishibashi F, Ichita C, Takasu A, et al. The increasing trend of the generational Helicobacter pylori-naïve prevalence among Japanese individuals born between 1925 and 2015: a systematic review and meta-regression analysis. Helicobacter. 2025;30:e70052. doi:10.1111/hel.70052. PMID: 40500921
Kaji E, Yoden A, Otani M, et al. Helicobacter pylori test-and-treat strategy for second-year junior high school students aimed at the prevention of gastric cancer in Takatsuki City. Helicobacter. 2020;25:e12696. doi:10.1111/hel.12696



